


「どのように淹れれば美味しくなるのでしょうか」と、よく聞かれることがあります。
言葉の数を選ばなければならない店頭では、お伝えしきれないこともありましたが、
それに対する答えや想いを「珈琲の表現」という本にまとめました。
店で皆様に珈琲を提供する以上、自分たちには流儀や思想があります。
しかし、家で飲む珈琲は決して難しい顔をして仰々しく淹れたり飲んだりするものではありません。
美味しさは飲むときの感情、食経験、どこでだれと、何に添えて飲むかでも変わってしまうもの。
浅煎りだって深煎りだっていい。
濃くも薄くもなる。
何より、「皆さんらしい珈琲」を淹れていただきたい。
情報や流行り廃りに右往左往されずに、自身の珈琲の味わいを持っていただきたい。
そう思って綴らせていただきました。
一部堅苦しい説明も含みますが、丁寧に珈琲を淹れたいと思っている方に手に取っていただけると、とても嬉しいです。
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ともに本を作り上げたカメラマンの鈴木静華さん、デザイナーの芝晶子さん、編集の益田光さんは一度エチオピアの旅も共にし、皆で珈琲の原生林の土を踏みしめました。その記憶を共有する方々と作った本は、とても愛おしいものとなっております。